知っている人は知っている。けど、知らない人は知らない。俺みたいに。
うろうろしてる俺の姿を見て別の兄ちゃんが声をかけてきた。
「もういないって。」
「?。」
「もういったよ」
「なんで」
「おまえ、地図持ってるだろ?見せてみろ」
なんで俺が地図を持ってるってわかったのか、出しかけた俺の地図を取り上げ
「小っせぇ店ばっかり回ったんだな。俺のに乗ってきなよ。俺はもっとでかい店、知ってるぜ」
親指立てながら”乗ってけよ”ってしぐさを見てると、だんだんわかってきた。
このトゥクトゥクの兄ちゃん、行きたかったんは「お寺」じゃなく「お店」やったんや。